ISO19650はBIMのレベル2で必要とされる規格になります。
今回はISO19650とは何か?
そもそもBIMのレベルとは?
日本で取得している企業は?
といった点について解説していきます。
ISO19650とレベル2での遂行の関係
ISO 19650ベースでの遂行はBIMのレベル2に該当します。
BIMの成熟度レベルがそもそも何かとのことですが、
イギリスで定義されたBIMの整備成熟度を示す図に各レベルの説明があります。
0から3までレベルが定義されており、こちらの表各国のBIM の成熟度を測る際によく参照されます
各レベルのざっくりとした定義は以下の通り
レベル0 | 2D (非構造化プロジェクトデータ)を中心とした遂行 |
レベル1 | 2D と部分的に3Dを活用した遂行 |
レベル2 | BIMモデル(属性データを持つ3Dモデル)での情報共有を中心とした遂行 CDEと呼ばれるクラウド環境をベースとした遂行になります |
レベル3 | 厳密な定義はないのですが、、統合モデルにアクセスした遂行、ファイルベースではなくデータベースでの遂行が期待されています。 |
欧米諸国はレベル2の企業が多いと言われています
イギリスでの公共事業では2016年時点でレベル2での遂行が既に義務化されており、多くの企業が対応できる状態にあります
MICHI MACHI
さらに、海外のプロジェクトだとISO19650、つまりレベル2での遂行が入札条件として入ってくることが多いです。欧米ではISO19650の知見は基礎教養となりつつあります。
レベル2での遂行に必須!CDE (Common Data Environment)
CDEはざっくり言いますと、クラウド上でプロジェクト関係者とコラボレーションする為の環境です。
モデルのコラボレーション、モデルのチェック、レビュー、協業が可能な環境になります。
(今回はISO19650での厳密なCDEの定義については述べません!また別機会に。。)
レベル2の遂行ではCDE、必須環境です!
CDEを導入することで、各プロジェクト関係者同士でやり取りしていたデータが集約され
効率的な遂行が可能になります
ISO19650には具体的なCDEの必要要件や活用の手順が記載されています。
脱線しますがISO19650はBIM モデルや図面の他に、このCDEと遂行ドキュメント一式があれば認証取得できます
詳しい取得手順については、長くなるのでまた別記事で記載をします!
メジャーな市販ソフトであるとCDE、以下の製品が該当します。
・Autodesk Construction Cloud(Autodesk)
・BIM360 (Autodesk)
・Connect(Trimble)
・Project Wise (Bentey)
ISO19650の概要
ISO19650 の1から5迄あります
ざっくりとした内容は以下の通り
ISO 19650-1 | 概念及び原則 | ISO19650 シリーズの目的や概念の説明 | 2018年発行 |
ISO 19650-2 | 資産の分配フェーズ | BIM による建築物の計画、設計、施工、引き渡し段階のワークフローを示す | 2018年発行 |
ISO 19650-3 | 資産の運用フェーズ | BIM によるオペレーションやメンテナンス段階のワークフロー | 2020年発行 |
ISO 19650-4 | 情報の交換 | Cobieの活用 | ー |
ISO 19650-5 | 情報マネジメントへのセキュリティを意識したアプローチ | BIM 関連の情報セキュリティ上の留意点 | 2020年発行 |
今回は私も業務でよく適応しているメジャーな1と2の話をします。
内容をざっくり言うとクラウド環境(CDE)でのプロジェクト関係者とコラボレーション手順が書かれています
同時にプロジェクトのフェーズ毎に必要な遂行図書も記載されています
必要な遂行図書の一例は以下の通り!
・ EIR 発注要件書
・ BEP 遂行計画書
・ MIDP/TIDP 図書・モデル・レポート等の作成スケジュール
・ Responsibility Matrix モデル要素の作成所掌
各図書の中身はまた別記事で説明します
これら図書に記載されている情報を基にCDE上にBIMモデルを含む情報を作成していきます
MICHI MACHI
ISO19650で記載されているBIMの遂行には、クラウドでどのようにプロジェクト関係者と協業していくかが記載されているよ。
ISO19650を取得している日本企業
ISO19650を取得している海外企業は多数、400社以上とのこと
ですが、、
国内だと
2023年4月時点で確認できるのは10社未満です。
・大和ハウス工業株式会社
・株式会社大林組
・株式会社ビムテク
・株式会社安藤・間
・山口重工業株式会社
・トランスコスモス株式会社
・スターツCAM株式会社
・大成建設株式会社
・日揮グローバル株式会社
ISO 19650を取得することで、企業はより効率的かつ効果的にプロジェクトを進めることができます。
しかし、ISO 19650の取得には、コストや時間がかかることもあり
かつ従来からのやり方や習慣が根強く残っており、紙ベースの手法が主流であることもありなかなか浸透が難しそうです
MICHI MACHI
顧客から元請け、下請けまでBIM を使い業務全体をデジタル化していくことが生産性向上の観点から非常に大切。部分的なデジタル化は効果が薄い。日本国内でも顧客、サブコンを含めたプロジェクト関係者全員でのデジタル化が進むと良いのですが、、
まとめ
ISO19650はクラウド上で協業する上で重要な図書になります
客先から、サブコンまであらゆるプロジェクト関係者が一つのクラウド環境にアクセスし遂行できるようになると
建設業界は変わっていくと肌身で感じています
CDE、海外プロジェクト遂行ではもう欠かせないインフラになっています
・ ISO19650にはクラウド(CDE)にてプロジェクト関係者と協業するプロセスが記載
・ ISO19650はBIM成熟度レベル2に該当
・ 欧米では一般的になっているが、未だ日本では十分に浸透していない
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