BIM を担当している方なら、OmniClassやUniClassといったコードを一度は目にしたことがあるはず。
これらコードを建設分類体系と言います。
日本だと馴染みがない言葉ですが、
Construction Classification Code(建設分類体系)とは、建設工事や建築物などの分類を定めた体系のことで、BIMの有効活用の観点から非常に重要な概念になります
建設工事や建築物は、その種類や性質、構造、規模などによって異なるため、分類されることで、管理や調査、研究、統計などがしやすくなります
その建築物を分類する為のコードが建設分類体系になります
建物を分類
建設分類体系には、国や地域によって異なるものがありますが、一般的には、建設物の用途や規模、構造、工法、施工方法などを基準として分類されます。
また、建設現場で使用される機材や材料、建築設計に関するものなど、細かい分類も存在します。
建設分類体系は、建設業界や政府、学術研究機関などが利用することが多く、建設業者や設計者、調査者などは、自分たちが扱う建設物がどのような分類に属するかを理解しておく必要があります。
MICHI MACHI
私はプロジェクト間でのデータの比較や、コスト集計、建設工程の管理で良く建設分類体系を使っています。プロジェクトでバラバラなデータ構成だと比較ができないのですが、複数プロジェクトを跨いだ共通の建設分類体系を用いることでデータ活用が捗ります。
BIM と建設分類体系
建設分類体系とBIM(Building Information Modeling)には、密接な関係があります。
建設分類体系は、建築物の部位や材料などを分類するための体系であり、建築設計や工事の管理において、材料や部位の種類や量、価格などを正確に把握するために用いられます。
一方、BIMは、建築物の設計・施工・運用に関する情報を、3次元のデジタルモデルとして一元管理する技術であり、建築物全体を可視化し、設計変更や施工プロセスの確認などを効率的に行うことができます。
BIMを活用することで、建築設計や工事の管理において、建設分類体系に基づいた材料や部位の情報を、3次元のデジタルモデル上で正確かつ効率的に管理することができます。例えば、BIM上で部位ごとに必要な材料や量、価格などを把握することができ、建設分類体系に基づいた正確な見積もりを作成することができます。
また、BIMによって得られたデータは、建物の運用フェーズにおいても活用することができます。建築物の保守・修繕・改修などを行う場合には、BIM上で管理された情報を参照することで、適切な材料や部品の選定や修繕の計画を立てることができます。
つまり建設分類体系とBIMは、建築物の設計・施工・運用において、効率的かつ正確な情報管理を実現するために、密接に関係しています。
MICHI MACHI
BIMオブジェクトに予めOmniCassやUniClassといったコードを仕込んでおくことで効率的に遂行することができるよ。私の場合は複数コードBIMオブジェクトに付与しているよ。
各国の建設分類体系
世界中の国々で、建設分類体系は異なります。以下にいくつかの例を示します。
アメリカ合衆国 | MasterFormat (後にOmiClassとして統合) | アメリカ合衆国で最も広く使用されている建設分類体系で、建設プロジェクトを50のカテゴリーに分類します。建設物の種類に応じて、建設工事の項目がグループ化され、全体的なプロジェクトの観点から細分化されます。アメリカの日本でいう物価本みたいなものがあるのですが、MasterFormatにて分類がされており、MasterFormatベースでBIMモデルを構築すると直ぐに概算ができるようになっています。他にもUNI FORMATといったコードがありますが、後にOmniClassとして統合されています。 |
イギリス | UniClass | イギリスの建設分類体系で、建設物の種類や機能に基づいて、建設プロジェクトを分類します。Uniclassは、CPI(Construction Project Information)プロトコルの一部であり、BIMプロジェクトで使用されることが一般的です。 |
ドイツ | DIN 276 | ドイツの建設分類体系で、建設プロジェクトを8つの階層に分類します。最初のレベルで、建物の目的に基づいて分類が行われ、次に建物の機能に基づいて分類されます。 |
日本 | 建設工事業統計体系 | 日本の建設分類体系で、建設プロジェクトを45の工事種目に分類します。建物の種類に基づいて、建設工事の項目がグループ化され、全体的なプロジェクトの観点から細分化されます。正直、私も最近まで存在を知らなかったのですが、恐らく国内のプロジェクトでもあまり活用されておらず浸透していない状態だと思われます。 |
これらは、各国で採用されている建設分類体系の一例ですが、他にも多くの分類体系が存在します。建設プロジェクトにおけるコミュニケーションや効率的なプロジェクト管理を目的として、分類体系は重要な役割を果たしています。
世の中BIM遂行で最も用いられているのはOmniClassとUniClass2015になるかと思います
これらコードはISO12006の枠組みを基に作られることが多い為、どれも似通っています
BIM で良く用いられるOmniClass、UniClass2015
世の中のBIM遂行で良く用いられているのがOmniClassとUniClass 2015になります。
OmniClassとUniClassは、どちらも建設分類体系の一種であり、建設物や建設プロジェクトの分類を定めた体系ですが、以下にUniClassとOmniClassの違いを説明します。
- 異なる起源と歴史 OmniClassは、アメリカ建設業協会 (CSI) が策定した建設分類体系であり、2006年に公開されました。一方、UniClassは、イギリスの建設分類体系で、2009年に策定されました。
- 細分化の程度の違い OmniClassは、建設物を「プロジェクトフェーズ」「建設物部品」「材料」「製品」「仕上げ材料」「施設管理」「情報」の7つの階層に分類し、細かい分類が可能です。一方、UniClassは、建設物を「対象物」「空間」「材料」「環境」の4つの階層に分類しますが、OmniClassに比べると細分化されていないという特徴があります。
- 分類基準の違い OmniClassは、建設プロジェクト全体を対象に、工程・部品・設備・材料・製品・仕上げ材料・施設管理・情報の8つの観点で分類します。一方、UniClassは、建設物の機能、空間、材料、環境という4つの観点から分類します。
- 利用範囲の違い OmniClassは、アメリカ合衆国内で広く使われていますが、世界的にはまだ普及しているとは言えません。一方、UniClassは、イギリス国内だけでなく、国際的にも利用されるようになっています。
以上がOmniClassとUniClassの主な違いです。建設プロジェクトにおいてどちらを使用するかは、国や地域、建設業界の慣習などによって異なります。
ISO12006とOmniClass・UniClassとの関係性
ISO 12006とOmniClass・UniClassの関係は、OmniClass・UniClassがISO 12006に基づいて作成された建設分類体系の1つであることに起因しています。
ISO 12006は、建設プロセスに関する情報の分類と記述に関する国際標準であり、建設物の構成要素を分類し、コード化することで、情報共有と効率的なコミュニケーションを促進することを目的としています。一方、OmniClass・UniClassは、建設分類体系の1つであり、ISO 12006に基づいて作成されています。
OmniClassは、北米で広く使用されている建設分類体系であり、建物の機能、形態、材料、設備などの分野に分けられます。UniClassは、OmniClassをベースに、イギリスで開発された建設分類体系であり、機能、形状、位置、材料、環境、アクセシビリティなどの分野に分けられます。どちらの分類体系も、ISO 12006に基づいて作成され、それぞれの分野に属する項目には、一意のコードが割り当てられています。
したがって、OmniClass・UniClassは、ISO 12006に基づいて作成された建設分類体系であり、建設プロセスにおける情報共有や効率的なコミュニケーションを実現するために使用されます。OmniClass・UniClassのコード化された項目は、BIMなどの建設プロセスに関連するソフトウェアで使用されることがあり、情報共有と効率的なコミュニケーションを可能にする役割を果たしています。
まとめ
- 建設分類体系は欧米のBIMで良く用いられている
- 最も用いられている建設分類体系はOmniClassとUniClass2015
- 建設分類体系をBIMと組み合わせ用いることで積算や建設管理等、情報の高度利用が可能になる
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